物々交換からお金の歴史へ

非常に面倒だったのは、想像に難くない

物々交換という歴史は古代の時代を起源としている、人間の経済活動の原点とも言える究極形態といえるものだが、現代でそれらが行われている例は非常に少ない。例えばもし、今この瞬間に政府が全ての経済活動において円やドル、ユーロなどの金銭で執り行っている商取引を中止して、物品での交換のみとするとしたら、もう大混乱だ。混乱ならまだしも、恐らく日本という国内で略奪やら強奪などの犯罪行動などが頻発し、1つの国が終わりを告げることになるのは目に見えている。古代期においてまだ通用していたのは、貨幣というものの存在が無かったことが最も大きな要因といえるのではないだろう。ただそう考えると、良くその時代で物々交換というものが成立していたなぁと感心するばかりだ。そう考えてみると、まだ人というものがそこまでの力を有していなかった時代における物々交換としての主流な商品とは一体なんだったのだろう。それはどの時代においても非常に必要不可欠で、人間が生命活動を行っていくためにどうしても要することになる『塩』が、その交換材料として用いられていた。今でこそある程度供給に対しての需要を生み出せているほど、塩は生産できているがそれも精製するための技術が整っているからこそだ。古代において効率よく、そして大量に塩を作り出すなどということがたやすく出来るような時代ではなかった。

塩を取引材料とする物々交換の歴史は日本のみならず、世界各地において頻繁に行われていた。では実際塩と交換する物としてはどのようなものが挙げられるのかと考えてみると、それらは各地方における特産品と交換していたという。各々の地域で名産品となるものを交換する経済活動を基準に人間の生産行為はますます増加して行くこととなる。しかし、そうした中でこのまま塩を取引材料として行くだけでいいのだろうかと考える人が出てくるのは目に見えている。というのも、商取引の材料として用いられる塩が必ずしも同じ量だけを交換してもらえるとは限らない。その時々によって塩を精製することが出来る量はまちまちとなり、先日交換したときよりも少ない量になっているなら誰も取引に応じようとは思わないものだ。それなら自分たちで模索しながら塩を作り出した方が早いだろうという考えに行き着いてしまう。

しかしそうなると塩を取引材料としていたほうは相手にしてもらえなくなってしまうため、新しい物々交換の対象となる品を作り出さなければならないといった問題が噴出する。現代でもその矛盾を指摘されたとおりだが、古代でも物々交換の非常に面倒なデメリットに多くの人が気付いたことによって、それまでの取引が何度も煩わしいことだと気付くことになる。また、取引をするアイテムを運搬するという面倒もあった。中には銅や青銅などといった鉱物類を材料としていたとしたら、重量のあるものを取引の度に持ち出し、更に交換する側も運ぶために労力を要するといった手間を惜しまなければならない。現代のように電話1本で黒猫マークが特徴の運送業者のような運び屋がいたわけではないので、どれ程の苦労を強いられていたのかも想像しやすいのではないだろうか。

そうした中で人々は考えることになる、誰もが取引アイテムとして用いることが出来る方法はないものかと考え出された結果、辿り着いた結論が『貨幣』という、今の世界経済にも連なる商取引のアイテムだった。そんな商取引の材料として価値を見出されたのは現代のような金銭類ではなく、貨幣の起源となったのは『貝殻を用いた貨幣』だったという。

物々交換してみる?

貝殻貨幣は世界的に使用されていた

物々交換というものが非常に面倒なものだと認識されるようになり、人々が作り出した貝殻貨幣は世界中に広まることとなる。中国などのアジア地域だけではなく、アフリカやオーストラリア、さらにまだ植民地と化す前のアメリカなどにおいて利用されていたという。西洋については古代期から既に貨幣というものの考え方が普及しており、例外となっている。そういう意味でも西洋がこの世界の礎を支え続けていたという風に認識することが出来るので、改めて勉強になるところだ。

貝殻といってもどの種類でも用いられていたわけではなく、貨幣として用いられてた貝殻とは『タカラガイ』という巻貝が用いられていた。その巻貝の中でも特にキイロダカラなどといったものを貨幣としており、そうした商取引を当然のように原始人たちは行っていた。タカラガイを貨幣として購入することが出来た商品としては塩を始め、布や米、家畜などといったものと交換するようになって行く。西洋文化が浸透していない地域においては物々交換の果てに辿り着いた経済活動という意味では第二段階へと進化した瞬間でもある。

しかしこのタカラガイにしてもやはり貨幣として利用する上で、デメリットの部分が噴出するようになってしまう。そのデメリットというのは次のようなものだ。

貨幣についてもっとくわしく

貝殻貨幣のデメリット

十分な貝殻の量を確保することができなかった

時間の経過と共に、貝殻が磨り減ってしまう

貯金するという考えが出てきてしまう、貨幣循環に異常きたす

先ず最初に、貝殻を十分に確保できなかったという問題だが、それは現代社会においても常にお金というものは循環するために生成されているものだ。限度はあるにしても、誰もが使用する貨幣という価値が出て来れば、当然それが無ければ必要なものを手に入れる事が出来なくなってしまう。よって、貝殻をたくさん入手することが出来ればそれだけ有利であり、手に入れる事が出来なかったらその分だけ何とか都合を付けなくてはならない。貝殻の数もある意味有限的であり、そして人間が無限とも言える取引を行なっていけばやがてそこをついてしまうのも道理というものだ。

また貝殻としての物理的存在がやがては磨り減ってしまって、貨幣として利用することができなくなってしまうなどの問題も出てきた。色々な問題が出てくるわけだが、筆者が思いつくところでのこうした問題点にはその他にも貨幣としての循環をきたすことになる貯蓄が影響していたのではないかと考えている。お金としての貝殻の使用が普及したことによって、今は使わなくてもいつか必要な時に備えて貯蓄しておかなければという、そう考える人も出てくるようになる。これを良いこととするのは現代のようなお金がキチンと確立されていればの話だ。貝殻を用いた貨幣では数に限りがあり、貯める人が増えれば増えるほど、本来循環していなくてはならない貨幣循環の調和を乱すことになってしまう。それなると限られた人だけが取引を行うようになってしまい、結果様々な問題が顕在化してしまう。

人間の経済起源ともいえる貝殻貨幣によって人間はお金という考え方、そしてお金が経済を活性化させることになるということを知った瞬間だったといえる。そういう意味ではある意味大きな躍進を遂げることになったと考えることも出来る。

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